- 2019-11-6
- 体質
フィラグリンの遺伝子が一部で乾燥肌に関与している可能性があります
角質層が非常に薄いことで起こる病気にアトピー性皮膚炎があります。
これを発症する患者の一部で、フィラグリンに関係する遺伝子の変異が認められています。
フィラグリンの遺伝子変異があると角質層形成に障害がおこる可能性があり、肌を乾燥から守る角質層に遺伝子が関係していることから、乾燥肌の一部では遺伝が関係しているといえるのかもしれません。
遺伝とは生命情報を伝えることです
自分にとって不都合な身体や心の特徴が見つかると、「仕方ない、遺伝だから」と思うことがあります。
その「遺伝」とは、一体何なのでしょうか。
私たちの身体は小さな細胞でできていますが、細胞には核というものがあります。
この核の中には23対の染色体があり、この染色体の中に遺伝に関係する遺伝子が配列されています。
染色体は2本で1対になっていますが、生殖の過程で父親と母親からそれぞれ1本ずつ受け継ぎます。
そのため、子どもは父親や母親に似るのです。
染色体に配置されている遺伝子は、遺伝子を形成する化学物質で、DNA(デオキシリボ核酸)でできています。
DNAは糖にリン酸がついたものでできる長い鎖と、この鎖にくっついている4種類の塩基とでできていて、長い鎖は2本あってねじれあった状態になっています。
4種類の塩基の配列順序はタンパク質に関係する情報を表していて、この情報に基づいて人間の身体は作られ、生命活動が営まれています。
染色体の中の遺伝子が親から子へとこのような過程で受け継がれるので、子どもに遺伝するのです。
お肌の保湿は3つの因子から成り立っています
肌の潤いは皮脂と天然保湿因子、角質間細胞脂質の3つが関与しています。
まず皮脂ですが、これは汗と皮脂が混ざり合ったものでできています。
肌表面を油膜として覆っていて、肌内部からの水分の蒸発を防ぐとともに、肌の摩擦抵抗を減らし肌表面を滑らかにすることで肌を保護しています。
また、脂肪酸を含んでいることで肌表面が弱酸性に保たれ、細菌繁殖を防ぐ役割も果たしています。
次に天然保湿因子ですが、これは水と結びつく性質を持っています。
アミノ酸や尿素、乳酸、塩基類で構成されています。
最後に角質間細胞脂質ですが、これが非常に重要です。
セラミドともいわれ、80%が水分でできています。
角質細胞同士を結びつける役割を果たしていて、水分蒸発を防ぎ肌を外からの刺激から守る役割を果たしています。
水分と脂質が交互に組み合わさった形をしていて、これが水分を挟み込んで肌からの水分の蒸発を防いでいます。
脂を除去する作用の強いボディソープなどで洗いすぎたりすると、皮脂と角質間細胞脂質が流れ出てしまうために、肌は乾燥してしまいます。
乾燥肌の代表格であるアトピー性皮膚炎の一部では遺伝子が関与しています
近年、お肌の状態や未来に関係する遺伝子検査を行う会社が数社あります。
多くの会社では、特にお肌の老化により発生するシミやシワに関係する遺伝子を主に検査しているのですが、1社ではお肌の潤いに関係する遺伝子をも検査しています。
この、お肌の潤いに関係する遺伝子というのが、「フィラグリン」に関係する遺伝子です。
フィラグリンとは、別名ヒスチジン・リッチ・プロテインといいます。
表皮の顆粒細胞で作られるタンパク質の一種です。
顆粒細胞においては、フィラグリンが分解されることによってできたものが、保湿因子として働いています。
また、ケラチンと結びついた後、角質上層でアミノ酸に分解されます。
フィラグリンが作られないと、角質異常が起こるために皮膚のバリア機能が低下して、皮膚炎が起こります。
アトピー性皮膚炎はアレルギー性皮膚病の代表格といわれますが、アレルギー以外にも乾燥肌は肌の不衛生が関係するといわれています。
日本においては、アトピー性皮膚炎患者の27%程度で、フィラグリンに関係する遺伝子の変異が認められています。
また、両親ともにアトピー性皮膚炎であった場合、その子供にアトピー性皮膚炎が発症する確率は50%といわれています。
乾燥肌が原因ともいわれるアトピー性皮膚炎の原因にフィラグリンに関与する遺伝子の変異が関係すること、またフィラグリンが肌の保湿にどのように関係しているのかを考慮すると、乾燥肌は一部では遺伝が関与しているといえるでしょう。
(まとめ)乾燥肌は遺伝するのでしょうか?
フィラグリンに関係する遺伝子に変異が生じると、角質層形成が障害される可能性があります。
お肌の保湿に重要な役割を果たすのが角質層ですから、乾燥肌には遺伝や遺伝子が関係しているといえるのかもしれません。
父親と母親から1本ずつ受け継いだ染色体は23対あり、この中に含まれる遺伝子による情報で身体は作られます。
両親それぞれが持つ身体的な情報が伝えられるので、子どもは顔だけでなく身体的な特徴も親に似るのです。
肌の保湿には、皮脂と天然保湿因子、角質間細胞脂質が関係しています。
皮脂は肌表面から、角質間細胞脂質は肌内部で、水分を保持して肌の乾燥を防いでいます。
角質層には30%の水分が含まれていますが、10%以下になると乾燥による痒みを生じます。
アトピー性皮膚炎では特に角質層が薄い状態であることが問題とされていますが、これには肌の保湿に関係するフィラグリンの関する遺伝子の変異が一部で関係するといわれています。
乾燥肌も一部の人では遺伝が関与するといえるのかもしれません。
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